朗読 - 斜陽歌词由猫木文庫演唱,出自专辑《レディメイドに花束を》,下面是《朗読 - 斜陽》完整版歌词!
朗読 - 斜陽歌词完整版
工場から暗闇の通路を通って寝床に戻ると、草臥れた身体で壁に寄り掛かって、二人で肩を寄せて座り込んだ。服には焦げた金属の匂いが染み付いていて、それが湿気の酸性の匂いと混ざって不快さを覚えた。吸い込んだ粉塵が僕とレイラに酷い咳をさせる。部屋の隅にあるバケツから水を掬って喉を潤した。燻された金属の流体が喉を流れる感覚がする。レイラはそれが気管に入ったようで、また酷く咽せ返した。
夏は日が長いようで、小高いところにある小さな格子の換気窓から赤色の夕日が差し込んでいる。今日初めて見る太陽だ。
「夕日」
レイラが換気窓をまじまじと見つめている。眼は赤色に染まる。暗闇の生活でただ一つ光る太陽はあまりに眩しく、見惚れてしまうのだ。僕らが唯一知っている世界の色だ。僕らを夕色に染めるただ一つの光だ。その光に、無性に希望を見出していたんだ。神様みたいだった。あの光が僕らをいつか外の世界へ連れ出してくれる、そう思い込んでいたんだ。でも光は軌道に乗って通り過ぎるだけで、僕らはずっと暗闇の中だった。いくら願っていても何も変わらない、そういう無力感で一杯だ。
幼い頃の僕らは「いつか世界を見に行こう」なんて言って目を輝かせていた。でもその目は今じゃ死んだような形相をしている。生活が日々命を蝕んでいる。このままじゃ僕らはここで息絶えてしまう。もう行かないと。あの日二人で思い描いた、遥か遠い幻想へ。
僕らに、レディメイドに花束を。